PMP試験に合格しました
こんにちは。
しばらくぶりのブログ更新です。
前回更新のあとからプロジェクトリーダーに任命されて、プロジェクトマネジメントをするようになりました。去年で1件担当し、引き続き今もPLをやっているような状況です。
PLをやっていると、技術的に正しいことだけではプロジェクトは進まないな、と思う場面がかなり増えました。
仕様を決める、関係者と合意する、スケジュールを引く、リスクを見つける、課題を潰す、変更を扱う、チームの状況を見る。
こういう仕事は、なんとなくでも進められます。ただ、なんとなく進めていると、どうしても会社やチームのやり方に引っ張られます。1件目のプロジェクトが少人数チームでPLの私がルールメイクする立場になったのですが、正解が分からず苦戦しました。もちろん現場のやり方は大事ですが、今のやり方が本当に良いのかを判断する軸が自分の中に欲しいなと思いました。
もっと上手くやって、もう少し楽に仕事を進めたい。
そう思ったのが、PMPを受けようと思ったきっかけです。
タイトルのPMPは「Project Management Professional」というプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
IPAのプロジェクトマネージャ試験も候補ではあったのですが、CBT移行や試験制度の見直しの時期と重なっていて、今すぐ受ける資格としてはPMPの方が自分のタイミングに合っていました。
PMPとは
PMPは、PMIという団体が認定しているプロジェクトマネジメントの資格です。
ざっくり言うと、プロジェクトをどう計画し、どう進め、どう人や組織と関わり、どう価値を出すかを問う試験です。
プロジェクトマネジメントというと、WBSを作ってスケジュールを引いて進捗管理するもの、というイメージが強かったのですが、PMPで扱う範囲はもう少し広いです。
予測型(ウォーターフォール)のプロジェクトだけでなく、アジャイルやハイブリッド型の進め方も出てきます。チームビルディング、ステークホルダーとの合意形成、リスク対応、変更管理、ビジネス価値、コンプライアンスのような話も出ます。
PM/PLかくあるべし、と手法というよりも原理原則に重きを置かれた部分がPMPの領域で、ITに関わらないプロジェクトマネジメント全般の知識体系でした。
「この状況で、成熟したプロジェクトマネジャーならまず何をするか」
をひたすら問われました。
ここが面白いところでもあり、難しいところでもありました。
試験を受けるまで
PMPは、申し込めば誰でもすぐ受けられる試験ではありません。
受験にはプロジェクトマネジメント経験と、35時間の公式なプロジェクトマネジメント教育が必要です。
自分の場合は、エンジニアになる以前もプロジェクト業務にしていたので経験面は全く問題ありませんでした。35時間の研修を受けて、そこからPMIのサイトで申請しました。事前の研修と受験費用は会社が出してくれました。感謝です。
大変だったのは2026年7月9日からPMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)の刷新に伴い、試験内容も変わってしまう。それまでに受験申請と受験を済ませることでした。どちらかというと、事前の申請が思ったより重かったことでした。
申請では過去に担当したプロジェクトについて、どのような目的のプロジェクトで、どのような成果物があり、自分がプロジェクトマネジメント上どのような役割を果たしたのかを書きます。英語で。
最初は「自分はPLとして実務をやっていたし、まあ書けるだろう」と思っていたのですが、実際に書いてみるとかなり難しかったです。
単に「開発しました」「調整しました」では弱くて、PMとして何を計画し、何を監視し、何を調整し、どのようにプロジェクトを前に進めたのかを書かなければなりません。
ここで一度、自分の経験をプロジェクトマネジメントの言葉に変換する必要がありました。
これは面倒ではあったのですが、振り返ってみるとかなり良かったです。
自分がやっていた仕事の中にも、ステークホルダー管理、リスク対応、スコープ調整、品質管理、コミュニケーション管理のような要素があったことが分かりました。
一方で、今まで感覚でやっていた部分も見えました。
申請を通すための作業ではあるのですが、ここで一度自分の経験を棚卸しできたのは収穫でした。
試験対策
試験対策は、基本的には講座と問題演習を中心に進めました。
PMPは日本語でも受験できますが、日本語訳がかなり独特で、問題文の意図がわかりづらい問題が多くありました。
最初は問題を読んでも、何を聞かれているのか分からないことが多かったです。
特にアジャイル系の問題や、ステークホルダー対応の問題は、普段の仕事の感覚で選ぶと普通に間違えます。
たとえば現場では、困ったら上司に相談するとか、詳しい人に判断してもらうとか、期限に間に合わせるために範囲を削るとか、そういう動き方をしがちです。
ただ、PMPの世界ではそれが常に正解とは限りません。
まずチームと話す。 まず根本原因を確認する。 まずステークホルダーと期待値を合わせる。 まず既存の計画やプロセスを確認する。 変更は統合変更管理を通す。 アジャイルならプロダクトオーナーやチームの責務を尊重する。
このあたりの「PMP的な優先順位」を掴むまでに時間がかかりました。
勉強していて特に大事だと思ったのは、用語を単体で覚えることよりも、考え方の型を掴むことです。
自分は以下のような観点で、間違えた問題を整理していました。
- これは予測型の問題か、アジャイルの問題か
- PMが直接解決すべき問題か、チームに解決を促す問題か
- リスクなのか、すでに起きた課題なのか
- 変更要求なのか、通常の作業調整なのか
- ステークホルダーの期待値ずれなのか、チーム内の問題なのか
- すぐ対応する場面なのか、まず分析する場面なのか
最初はこの切り分けが全然できませんでした。
「いや、この選択肢でも良くないか?」と思うことがかなり多かったです。
ただ、演習を重ねていくとだんだんPMPが求めているPM像が見えてきます。
独断で決めない。 チームを責めない。 プロセスを飛ばさない。 ステークホルダーを放置しない。 短期的な帳尻合わせより、価値と合意形成を重視する。
こういう人物像です。
これは正直、きれいごとに見える部分もあります。
現実のプロジェクトではそんなにうまくいかないことも多いですし、PMにそんな権限ないでしょ、と思う場面もあります。
ただ、資格試験として学ぶなら、現実のしんどさに寄せすぎるよりも、まず原則を押さえた方が良いです。
現場では原則をそのまま適用できないこともありますが、原則を知らずに崩すのと、原則を知ったうえで現実に合わせるのでは全然違います。
PMPの勉強で得られる一番大きなものは、この「判断の基準」だと思います。
試験本番
試験はかなり長いです。
180問あり、試験時間も長いので、単純に体力を使います。
自分はテストセンターで受験しました。
試験中は2回休憩を取れますが、休憩前の問題には戻れません。
問題自体は、模擬問題で見たような論点も多かったですが、やはり本番は文章が短く日本語が問題になることは少なかった気がします。問題に慣れたからかも。
それっぽい選択肢が複数あり、その中から一番PMらしいものを選ぶ問題が多かったです。
知識だけで即答できる問題はそこまで多くなく、状況を読んで判断する問題が中心でした。
本番で意識したのは、悩みすぎないことです。
考えれば考えるほど全選択肢に可能性があるように見えてくるので、まずは選択肢を2つまでしぼって、最後は実務を想定して「PMP的にはどれか」で選んで進めました。
結果
結果は無事に合格でした。
事前に合格通知はメールで届くと聞いていたので、驚いたのですが、試験終了直後に速報の結果が出ました。 かなり疲れていたので、最初は本当に合格しているのか少し疑いました。ただ、ちゃんとPassと出ていました。
合格できたこと自体も嬉しかったですが、それ以上に、プロジェクトマネジメントを体系的に学ぶきっかけを作れたのが良かったです。
特に、今の仕事でPLをやっている身としては、かなり実務に返ってくる内容でした。
たとえば、リスクと課題を分けて考えること。 変更要求をその場のノリで処理しないこと。 ステークホルダーとの期待値合わせを後回しにしないこと。 チームの問題を個人の能力不足だけにしないこと。 プロジェクト管理計画やガバナンスを、単なるドキュメントではなく合意形成の仕組みとして扱うこと。
このあたりは、すぐ仕事に効きそうです。
もちろん、PMPに合格したから急にプロジェクトマネジメントが上手くなるわけではありません。
資格は資格です。
ただ、今まで経験と雰囲気でやっていたことに対して、言葉と型ができた感覚はあります。
これはかなり大きいです。
これから
PMPを取ったので、これで終わりではなく、むしろここから実務で使っていきたいです。
今後は、今担当しているプロジェクトで、プロジェクト管理計画、リスク管理、変更管理、ステークホルダー管理あたりをもう少し意識して進めたいです。
特に自分は開発寄りの人間なので、どうしても技術的な課題に目が行きがちです。
もちろん技術は大事です。
ただ、プロジェクトとして見ると、技術的に正しいだけでは足りません。
誰が意思決定者なのか。 何をもって成功とするのか。 どの変更は受けるべきで、どの変更は止めるべきなのか。 誰の期待値がずれているのか。 チームが継続的に成果を出せる状態になっているのか。
こういう部分を見られるようにならないと、PLとしては厳しいなと思います。
PMPの勉強を通じて、プロジェクトマネジメントは「管理」というより「前に進めるための仕組みづくり」なんだな、という認識になりました。
タスクを管理するだけではなく、関係者が納得して動ける状態を作る。 チームが成果を出しやすい状態を作る。 変更や不確実性があっても、プロジェクトの目的から外れないようにする。
このあたりを実務でちゃんとやっていきたいです。
あと、PMPは更新のために継続学習も必要なので、今後もプロジェクトマネジメント周りの学習は続けていく予定です。実務も落ち着いたらエンジニアに戻りたいけど…戻れるんだろうか。
試験勉強は大変でしたが、今PLをやっている人や、これからプロジェクトをリードする立場になりそうな人には、かなり良い資格だと思いました。
少なくとも、自分にとっては取ってよかったです。
